「ジャイアンツは負けない」よりつかこうへい「ジャイアンツは負けない」より(巨人 牧野コーチがつかに向かって言うことばの要約。小説の中の話し) 『もはや一握りのスターが、ホームランか三振かという時代は終わりました。 巨人軍ではいかに3塁打を2塁打にするかというテーマの元に全選手の行動が義務付けられました。 たとえば、ノーアウトで右中間にスリーベース性のヒットが飛んだとします。その打球をライト末次とセンター柴田が追う。ところが柴田は右投、末次も右投。どちらかが捕ればいいというもんではない。柴田が取ったら身体の向きを一回転してから投げなくてはならない。その分時間がロスになります。ですから、このケースでは当然末次がボールを処理すべきです。 が、柴田はただ手をこまねいているのではない。末次のバックアップをしながらどこへ投げろと指示しなければならない。 セカンドの土井はカットマンとなってライト方向に向かう。そしてまたその5,6メートル後ろをショートの黒江がバックアップに入る。ファースト王は、ランナーがファーストベースを確かに踏んだかどうかを確認してから、ランナーの後ろを追ってセカンドに走る。 サード長嶋は、当然サードベースのカバー。レフトの高田とピッチャーの堀内は、返球がそれた場合に備えて、長嶋の後ろ左右にそれぞれバックアップに入る。 もしこれを、3塁後方のスタンドから見ると、8人の選手がほぼ一直線上に並んでみえるはずです。』 #これほどわかりやすい解説はあったろうか。情景が目に浮かぶ。 |